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理事長室

第5回 臨時総代会ごあいさつ

 空梅雨であった今年でしたが、降水量も、猛暑が続く割りに突発的な降雨があり、平年と変わらない状況であります。水稲にとって今のこの時期は水が一番必要な時ですが、先人先達のお陰で我々土地改良区の水がめである笹ヶ峰ダム・野尻湖とも通常落水を行っておりますが、異常渇水までに至っていないのが現在の状況であります。今後とも無駄のない効率的な用水管理に努めていただきたくご協力をお願い致します。
 本日は関川水系土地改良区の第5回臨時総代会開催に当たり、総代の皆様には、ご多忙のところご出席していただき有り難うございます。また、県財政の逼迫した中、来年度予算編成などの業務ご多端日程の中、上越振興局農林振興部上石副部長様をお迎えし、開催できますことに対し、ここに深甚より厚く感謝申し上げます。

 さて、8月15日発表の全国米穀データーバンクの今年の作況指数によれば、全国的に、やや良の102、新潟県は100と報道されておるように、現在でも米余り現象から更に豊作につながり、来年度の生産調整に影響がでかねないと危惧されるところであります。
 また、我が国を取り巻く農業問題も先日のWTO交渉が決裂した事実を知るにつけ、米に対する世界中からの関心度がいかに高いかが伺われ、証明されました。
 一方、我が国の消費者物価指数によれば、原油高に端を発し、小麦粉の値上がりでパン・めん類などが18%上昇しており、過去6ヶ月では米の消費量は上昇傾向とマスコミで報道されており、反面誠に喜ばしい限りであります。
 さて月日の流れは走馬灯のごとく、一昨年10月に6土地改良区が合併し、2年近くが経過しようとしています。その間、役職員は「組合員のための土地改良区」を深く胸に刻み、各種の改革に奮励しておることを報告し、総代の皆様に感謝申し上げますとともに、当土地改良区を取り巻く主たる問題6項目をピックアップしました。

1.笹ヶ峰ダム堆砂等の問題
 笹ヶ峰ダムは、昭和43~56年に造成整備された施設であり、関川地区土地改良区連合管内の6,175haに農業用水として灌漑しております。供用開始後既に27年経過しており、北陸農政局の調査によれば、提体本体の変形や構造的機能低下は認められませんが、平成7年の7.11の記録的な豪雨により、一度に78万トンもの大量の土砂がたまり、向こう40年分の土砂が堆積してしまい、現在では167万トンという数字になっています。国立公園内でもあり、浚渫(しゅんせつ)運搬するためには数100億円の巨費がかかってしまいます。更に観測機器が老朽化し、部品交換するにも部品の調達が難しくなってきている現状であります。
 これらの問題を解決すべく、今年・来年度の2ヶ年で、北陸農政局による地方整備方向調査「関川2期地区」として、検討・調査が行われることになりました。土地改良区としても、維持管理費がかからない方向を目指した意見・要望を提出していくこととしています。
 また、地方分権改革に関係し、国営事業や地方農政局の廃止が検討され、笹ヶ峰ダムなどの国営施設が地方に移管されるという巷の話題もありました。しかし、上越地域は県内有数の食糧供給地域としてその役割を果たしていくためには、引き続き国の責務として国が自ら着実に整備実施すべきということから、去る7月10日、高鳥国会議員・木浦市長に笹ヶ峰ダム現地で強く要望致したところであります。

2.県営ほ場整備事業
 ほ場整備事業は、今年度10地区を実施していますが、来年度以降、面工事が残るのは三和南部・中江北部第2・津有南部第1・津有南部第2の4地区の総計556.4haであります。いずれも採択後10年も経過しておりますが、遅々として進捗しておらず、昨年4月から都合10回に及び本庁への陳情を重ねており、余り長引くために未着工地域の組合員の中から倦怠感・挫折感の一部発言も聞こえるのも事実であります。
 これらの実情を訴えるべく、8月5日、新潟県本庁の諏佐農地整備課長から当地区においでいただきました。現地では、未整備地域で生産組織を結成し、野菜団地を造り販売しようとしても、施設投資もできない現場の苦悩を訴え、諏佐課長様から肌で実感していただいたところであります。
 いずれにせよ県の重点項目として、今後は農地集積率・担い手育成状況・コスト縮減の取組などを掲げておる一方、マイナス加算要件として、未同意者の存在や汎用化のために50%以上面工事が完了したのに暗渠排水工事に着手しない地区など、あの手この手で厳しい財政事情の中、効果の早期の発現が期待できる地区に重点的に配分するといっております。
 また、去る8月8日、自民党上越地域3県議に要望陳情を行いましたが、来年度予算査定も間もなく始まる時期です。引き続き、気を緩めることなく早期完了に向け汗をかく所存であることを深くご理解下さい。

3.信濃町産業廃棄物最終処分場設置問題について
 これは、長野県信濃町赤川地内で一級河川関川の右岸上流に計画されているもので、当改良区の大切な水源であり、当然、無関心でいるわけにはまいりません。そこで、昨年来、関川水系土地改良区として情報収集等を行うとともに長野県に対し反対の陳情行ってきたところであります。
 そしてこの度、野尻区長及び信濃町産廃対策住民の会(地域の反対団体の代表)からの要請もあり、去る8月18日に長野県に対し、再度反対の要望を行ってまいりました。
 上越の農業のため、永遠に水源を守っていく土地改良区と致しましては、農業用水源を汚染する危険があり、上越米の安全性を脅かす産業廃棄物最終処分場設置は断固阻止しなければなりません。そのためには、産業廃棄物最終処分場設置に反対する信濃町の皆さんとの情報交換と同一行動は不可欠と考えています。
 今後とも、信濃町の皆さん、JAえちご上越など上越地域の農業関係機関と一緒に産業廃棄物最終処分場設置阻止に向けて行動したいと思っておりますので、総代各位のご支援とご協力をお願い致します。

4.客水地区並びに上江用水上区域
 客水地区の賦課に関しましても、板倉地区上江・中江下の当該関係組合員様の深いご理解を頂き、既にご案内の通り3月26日に合意調印式を新潟県小林農地部長様・木浦上越市長様の立会いの下で滞りなく締結させてもらいました。江戸中期頃の用水開削と用地提供の恩恵で、下流部に潤沢な用水がかかっていることに深く感謝し、今後ともその権利を尊重するという条文を互換しました。
 そして今回、役員・総代定数を変更し、去る6月には板倉地区から理事1名、総代3名が新たに選出され、名実ともに土地改良区組織運営の仲間として出発したところであります。
 また、本年の事業計画でもお知らせ致しました、上江用水上区域の板倉・高士・清里3地区の賦課につきましては、本年度から経常賦課金の一部を負担いただくべく、各地区で地元説明会を開催し、大方のご理解を頂いたところであります。これに伴い、今回、補正予算を計上し、事務を進めてまいりたいと思います。
 客水地区の皆様とは、300年の間、時計の針が止まっていた状態でありましたが、客水地区の関係町内会長はじめ組合員の皆様の深いご理解により、時計の針が動き出したことを肝に銘じるところであります。また客水地区並びに上江用水上区域の皆様と対話を重ねて、「膝突き合わせて誠意をもって話合いを行うことが重要である」と感じました。所是にあります通り、「誠実・信頼・和」の1語句も欠けてはなりません。
 なお、客水地区の賦課に関しましては、去る7月28日金沢農政局内村局長様に経過報告をし、更に昨日、霞ヶ関の農林水産省中条農村振興局長様にも同様な報告をしてきたところでございます。

5.関川水系土地改良区経営検討委員会の設置について
 米価の下落など厳しい農家経営、なかんずく農業情勢が変化する中、合併前に検討した財政計画などによれば、合併後5ヶ年は現状維持とのことでありました。差し迫っての土地改良区財政の健全化を確保するには農業情勢変革からして改善できるものは、すき間を空けることなく直ぐにでも手をかけなくてはならないのが偽ざる実態で、合併検討時や平成20年以降の財政のシミュレーションを確認、改善・検討ポイントの洗い出しを行い、今後の方向性を確認するために「関川水系土地改良区経営検討委員会」を設置致しました。
 本委員会は、既に2回開催しておりますが、職員の経費節減意識の徹底・業務体制・職員給与手当の見直し・賦課金など多方面にわたって厳しく検討を行っているところであります。
 最終的には、年末までに対策案をまとめ、平成21年度予算編成に反映させ、経費節減を実現させていくこととしています。「大事の前の小事」で大事をなすには、小事にも気をつけ油断してはならない。傷は小さな内に治療すべしと考えています。何とぞ総代各位からご理解ご協力をお願い致します。

6.地形模型の活用
 既にご案内の農業用水水源地域保全対策事業のソフト面として管内地形模型も飾られておりますが、併せて当改良区の21世紀創造運動班により、地域の用水学習や水源林現地学習会も開催し、これらの活動やPRが功を奏し、思いの他の見学者で約3ヶ月で既に600名弱が見学されております。今後も土地改良区を地域住民から一層理解していただくよう努めてまいりたいと思います。

 さて最後になりましたが、平成19年度の収支決算と平成20年度補正予算案を提案しましたが、繰越額も31億4000万余りの数字であります。しかし財政調整基金を取り崩しておる現状からして、決して楽観は許されない状況であることを十分ご理解下さい。慎重審議をしていただき、原案通り議決・承認下さいますことをお願い致し、一言の挨拶と致します。

 平成20年8月20日

関川水系土地改良区
理事長 太 田 三 男