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第32回 通常総代会ごあいさつ

第32回 通常総代会ごあいさつ

R3.3.26 通常総代会で挨拶する齋藤理事長

 

第32回通常総代会開催に当たり、一言ご挨拶申し上げます。

 日頃より、関川水系土地改良区の事業運営にご理解とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。新型コロナウイルスの収束が見えない中、感染症対策として持病などご心配の方には、書面議決を推奨し会場設営ではソーシャルディスタンスを確保するなど3密対策を徹底し、変則的ではありますが、総代各位のご理解により第32回通常総代会を開催することになり、改めて御礼申し上げます。

また、上越地域振興局農林振興部の坂井副部長様におかれましては、公務ご多忙の中、ご臨席を賜り誠に有難うございます。

さて、頸城平野も高田地区では35年ぶりの記録的な豪雪となり、3月8日現在の上越市内の被害状況は、農業施設で208件372棟、うち農業用ハウスでは148件300棟と大きな被害が発生し、営農開始を前に、被災者に対する各行政の救済策が急がれるところです。

遅ればせながら、令和3年度事業執行に当たり、今日的課題と重点施策について申し上げます。

<今日的課題>

今冬の平場は記録的な豪雪となりましたが、私どもが最も気になります笹ヶ峰ダム周辺の今年の積雪は、過去40年の平均(293cm)より、今年は(181cm)少なく、暖冬少雪の昨年(160cm)に迫っております。

まだ判りませんが、はっきりしていることは「地球の温暖化現象」による異常気象の頻発です。一昨年のような登熟期(7月第5半旬~8月第4半旬)の高温・少雨は、「水不足」になった場合、稲の品質・収量に最も影響しますので、耕作者は基より、指導機関(普及センター・JA)は、それぞれの立場で、最大限の異常気象対策・基本技術の徹底が必要で、既に指導機関に要請済みです。

土地改良区としては、「番水」も視野に入れながら用水供給に最大限の努力を致しますので、耕作者におかれましても限られた水資源を「ムダ」のない効率利用をお願い致します。なお、以下の技術対策について、管内耕作者に総代各位より、周知頂ければ幸いに思います。

稲作基本技術の徹底。土壌改良資材を活用した「土づくり」や根張りを良くするための「15cm程度の深耕」・丁寧な「代掻き」「漏水防止」「健苗による適期田植え・適正な穂肥」等々、異常気象に対応できる基本技術の徹底が必要で、それらの対応如何が勝敗の分かれ目となります。

②令和3年度産米価暴落の懸念とその対応策について

 47年間続いた米の減反政策も3年前に廃止され、需要に応じた生産・販売の名のもとに生産者自らの責任において、自由に米を作れる時代となりました。

 結果、全国的に稲作栽培面積が増加(R2年:全国で136.6万ha)し、令和2年度作況99の平年作で、下げ止まらない米消費の減退に加えて、新型コロナウイルスの需要減により、適正在庫量を大きく超えています。令和3年度の水稲作付面積2年度と大きく変わらず、作況が平年作の場合、米価の大暴落(60kg当概算金10,000円程度)が懸念され、大規模経営体ほど被害(影響)甚大です。

米価下落に備えて、経営安定のため飼料用米や大豆など作付け転換やナラシ対策など国・県等の支援策や制度をフル活用することが肝要です。

徹底した稲作生産コストの削減。令和元年度上越市の農業生産法人の米60kg当たりの生産コストが、12,095円です。農水省が示すTPP対策の目標は、9,600ですが、収量アップに加えて、更なるコスト削減の決め手として、水管理システムや乾田直播(V溝)の導入など特に集積が加速する大規模経営体の労力削減と一層の効率化に向け、規模に合わせたこれらのスマート農業の導入が急がれます。土地改良区としては、当然ながら耕作者の視点で、今後ともコスト削減の条件整備を積極的に推進して参ります。

<令和3年度重点施策>

①国営事業関係

・平成26年度に採択された、国営かんがい排水事業も令和5年度に完了となります。また、新たに令和3年度より直轄地滑対策事業「笹ヶ峰二期地区」の着工となり、懸案の笹ヶ峰ダム堆砂対策と併せて、国営事業の早期着工・完了を目指して、北陸農政局など強力に要請活動を展開して参ります。

②県営ほ場整備事業等、農業農村整備事業の推進と複合営農を目指して

・水稲単作地帯にあって、先ず米で生き残れる条件整備(大区画ほ場整備とスマート農業)を最優先し、稲作コストの削減と園芸など複合営農を展開するための阻害要因(汎用化と強重粘土地帯の客土など)の解消を上越版オーダーメイドとして、新潟県、北陸農政局などに要請します。

・老朽化が進んでいる基幹水利施設の計画的な更新を補助事業の導入により実施します。

③地球の温暖化が原因とされる頻発している異常気象・災害の対応

・予報・予測を先取りして、関係機関と綿密な連携の基に水利施設の安全対策と用水供給に万全を期します。

④安全・効率を目指したAI・ICTなど業務全般にわたるデジタル化の推進

・水利施設の維持管理(ドローン)や耕作者とのAI・ICTの連携(水管理システム)等ペーパーレスを含む業務全般のデジタル化に向けて検証を行います。

⑤農家負担の軽減を目的に建設された「笹ヶ峰発電所」の効率的稼働

・水利施設等、農家負担の軽減を目的に国営かんがい排水事業の最優先事業として建設された「笹ヶ峰発電所」の令和2年度実績は、順調に稼働しほぼ計画通りの1億1,600万円の売電益となりました。

・令和3年度も前年同様の売電益を見込んでおり、効率的な発電所の運営により、広範な水利施設の維持管理費への充当等、一般財源不足による財政調整基金の取り崩しが激減するなど事業効果は大きく、発電所の効率的稼働に努力致します。

 結びになりますが、今後の事業執行にあたり、組合員・耕作者のご理解・ご協力なくして、事業の運営は不可欠です。宜しくお願い申し上げまして、第32回通常総代会開会のご挨拶とさせて頂きます。

 

  令和3年3月26日

 

関川水系土地改良区

             理事長 齋 藤 義 信