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第6回 通常総代会ごあいさつ

第6回 通常総代会ごあいさつ

 少雪であった今冬もようやく過ぎ、三寒四温繰り返しで、一日増しに春が近づこうとしている昨今。
 御案内いたしました関川水系土地改良区第6回総代会開催に当たり、総代各位におかれましては、御多忙のところ御出席いただき有り難うございます。また、年度末の非常に御多忙・御多端の中、上越地域振興局農林振興部 上石副部長様を御来賓に迎え、開催できますことはこの上になく深く感謝申し上げるところであります。

 平成18年10月に6土地改良区が合併してから既に2か年余りが経過いたしました。マラソンに例えるなら折り返し地点を既に経過し、1期目の決勝点に向かってひた走っているところといえます。その間にあっては、試行錯誤の連続で、組合員の皆様に御迷惑をおかけすることも多分にあったことと存じますが、その中からも手探りで組合員のために奮起しておることを、本日御出席の総代の皆様に報告いたし、併せて感謝いたすものであります。

客水地区の小冊子の作成について
 既に御承知のとおり、長年の懸案であった客水地区並びに上江上地区の賦課につきましては、昨年3月に客水地区と、そして10月には上江上地区と合意に達することができました。これもひとえに関係組合員、更に地元町内会役員の皆様の御理解のたまものと改めて感謝する次第であります。
 この歴史的な合意とこれまで300年以上も続いてまいりました慣行が、時代とともに風化したり、資料がなくなったりすることも考えられますので、地元の皆さんが保有されている資料も含めて、小冊子としてまとめ、後世に残したいと考えています。具体的な計画はまだですが、用水史を編集していただいた先生に既にお願いしたところであります。

ほ場整備事業の促進について
 県営ほ場整備事業の早期完了については、受益者が一番望むことでもありますが、土地改良区としても事業が長引けば長引くほど関連した事務的経費の支出がかさむことから、一年も早い完成を願い、農林水産省・北陸農政局・新潟県農地部へと、こまめに足を運んでおります。
 県の内示によると、平成21年度の県全体のほ場整備予算は、対前年比98.2%。中でも上越地域は総額で22億2500万円(対前年比100.8%)にまでこぎ着けることができました。昨年度より増額となり、一歩でも前進できたものと確信しています。
 お陰様で、今後、面工事だけで見ると、あと4地区となりました。しかし、面工事の進ちょく率50%経過をもって、暗渠工事も併せて進めたいという県の方針もあり、また関連して換地業務も逐次進めなければならず、引き続き県当局に要望を重ねてまいりたいと考えています。
 ただし、未同意者が地区内にいた場合は、工事も後回しになってしまいますので、結局は、地元町内会と土地改良区で対応しなければならないことから、新年度においては、重点的にその解決に努力していきたいと考えています。

信濃町赤川地内の廃棄物最終処分場建設の問題について
 廃棄物処理施設については、国民生活を営むのに欠く事ができない施設であると重々承知はしておりますが、下流域で生活している農水産業者にしてみれば、他県のこととはいうものの、無視できない問題であります。
 去る2月16日、泉田県知事の代理として渡辺上越地域振興局長、更に上越・妙高両市長代理として両副市長から、長野県知事あてに、申入れ・要望を行ったことは既に御承知のことと存じます。その結果として、関川下流域の新潟県からも意見がいえるということ、そして㈱高見澤への指導を約束を頂いたところであります。
 また、関川水系土地改良区は、えちご上越農業協同組合などの関係団体とともに『上越地域農業水産団体連絡協議会』を組織し、計画見直しを要望してまいりましたが、2月に総代・組合員の皆様からも御協力を頂き54000人余りの反対署名を頂きました。そして3月3日、協議会役員16名は、その結果をたずさえ、長野県知事並びに㈱高見澤に対し、要望を行ってきたところであります。
 更に、上越市・妙高市の両市議会では、全会一致で反対決議が採択されるなど、行政の強い働きかけがあり、上越地域の農業水産団体の意をくんでいただいたことに大変感謝しております。
 地元の信濃町でも地質調査を実施し、その結果、「活断層が計画地を横断しており地質構造的に不適切な場所である」として、松木町長も反対の表明をされております。
 これによって、本丸は外ぼりから埋められ、我々の念願成就のその日が一日も早く到来することを祈るのみであります。思うにこの問題に際し、行政側からも御尽力いただき、県を越えての官民一体の運動は他に類を見られないと同時に、約2週間余りで予想以上の署名を頂き、関心の高さを伺うことができたと思っています。
 いずれにしても先人・先達が野尻湖から清純な用水を引水していただいた恩恵で今日あるものを、一企業の活路のために犠牲には簡単になれず、「水源擁護」の見地からも粘り強い運動を行っていきたいと強く思っていますので、皆様方の御協力を切望いたします。

関川二期地区調査と関川地区土地改良区連合について
 笹ヶ峰ダムの堆砂問題・観測機器の老朽化問題を解決するため、平成20・21年度で北陸農政局による地方整備方向調査「関川二期地区」として、検討・調査が行われているところであります。現在では、ダムの堆砂・観測機器の更新・小水力発電を中心に、事業化の可否について検討されているところであります。ダム堆積土砂排除は多額の工事費がかかることから、今後時間をかけて検討することになると思いますが、観測機器の更新や、農家負担を軽減するための小水力発電、これは笹ヶ峰ダム方水路の落差を利用して発電し、将来全稼動40ヶ所の揚水機場の消費電力を補充するという構想であり、早期実施が望まれるところであります。
 また、関川地区土地改良連合も土地改良区検査が行われ、基本財産積立金の在り方について指導を受けたことから、関川連合の経営検討委員会を設置して、笹ヶ峰ダム関連の事業化を見据えた中での積立金と賦課金について、将来のあるべき姿を検討しているところであります。
 方向としては、笹ヶ峰ダム等の施設更新の事業実施となれば、多額の地元負担が想定されることから、基本財産積立金は、当面取崩しをせずに温存していくことになると思います。そうなると、関川連合の不足財源をまかなうため賦課金を増額しなければなりません。結果として、近い将来、受益者である組合員の皆様からその負担をお願いせざるを得ない状況であります。
 いずれにいたしましても、事業実施の必要性、更に関川連合の財政問題等を、早い時期に、組合員の皆様に周知するとともに、理解を深めていただくことが重要であると考えています。

新年度の予算案について
 平成21年度予算は、昨年度来、経営検討委員会で討議した答申と、昨年10月末に行われた北陸農政局の土地改良検査の指導などにより、予算だけでなく業務改善も併せて行い、現下の厳しい農業情勢の中、持続的な土地改良区を目標にして、「改革元年」と位置づけて予算編成いたしました。
 一般会計予算では、経常賦課金2,700円を据置きとした中で、予算額5億100万円弱で、対前年比35%増加となりました。大きく予算額が増えた要因としては、一括繰上償還として1億8600万円計上したため予算増になっておりますが、それを除けば、実質16%減の縮小予算となります。
 平成21年度予算の特筆すべき事項は次のとおりです。
①新たな賦課金
 経営検討委員会の中で問題となったことは、積立金の取崩しの抑制と、事業実施に伴う経費負担の公平性という問題でありました。これらを解決するために、平成21年度より次の新たな賦課金をお願いすることといたしました。これらは、今まで2,700円(又は客水地区等の1,350円)の経常賦課金を財源に支出していたものでありますが、事業実施に伴う事務的経費ということから、使途を特定し新たに負担をお願いすることといたしました。
(イ)事業事務費
 新たに実施する県営・団体営・県単事業については、事業事務費を頂くことになりました。県営については事業費の1%、団体営・県単事業等については、事業費の2%をお願いすることといたしました。
(ロ)県営ほ場整備事業実施地区の工事調整費
 これは、ほ場整備事業の工事の調整にかかる経費で、これまで事業主体である新潟県からの収入がないため、土地改良区が負担していたものであります。これについては、工事の進捗を図る目的から、地元工事委員の費用弁償等にかかる経費として、10a当たり200円をお願いすることといたしました。
(ハ)県営ほ場整備事業完了地区の換地調整費
 これは、「上江保倉地区」「板倉西部地区」の事業が平成20年度で完了となりましたが、換地処分登記が平成21年度ずれ込むため、運営委員会及び換地委員会にかかる経費として、10a当たり150円をお願いすることといたしました。
(ニ)換地更正費賦課金
 これは、ほ場整備事業の実施に伴い、地区境界の設定等により地区内外で換地更正業務が発生し、この処理に多額の経費がかかってしまいます。合併前の旧中江土地改良区の既に完了した重川・東中島・重川上流・上千原の各地区で換地更正の委託費に相当する経費10a当たり2,000円相当を負担していただいていました。これを基準として、現在実施している地区についても分割で数年かけて10a当たり2,000円を負担していただくことといたしました。
 なお、旧上江土地改良区では事業事務費を徴収していたことから、執行済み分は差引きし調整しております。
 以上の4つの新しい賦課金をお願いすることとなりましたが、総額で1180万円の収入増となります。受益者各位におかれましては、農業情勢厳しい中ではございますが、公平性を保つため、何とぞ御理解を賜りますようお願い申し上げます。
②揚水機場維持管理費の賦課と特別会計の設置
 旧中江土地改良区のほ場整備地区では、揚水機場の維持管理費の受益者負担については、町内会経由で徴収していました。しかし、土地改良区検査で、登記簿面積により各受益者に直接賦課しなければならないとの指摘を受けました。これにより賦課に切替えするとともに、ほ場整備事業により造成された揚水機場の維持管理にかかる経費の収支を明確にするため、新たに特別会計を設置することといたしました。併せて機場のメンテナンスは今まで職員で対応していたものを今後は業者委託することで経費の節減を図ります。
③償還対策
 過去のかんがい排水事業などの償還金については、6.5%~3.5%の借入利率であります。これを土地改良区の積立金で立替え返済し、1.5%の利率で計算し独自の償還計画を立てて受益者から毎年賦課金として返済していただくことにより、地区によって異なりますが、賦課単価が平均141円軽減され農家負担の軽減を図ることができます。また、土地改良区としても、低金利時代に1.5%の運用利益が見込めることで、受益者・土地改良区ともにメリットがあります。また、100件を超える借入件数も一本化されるため、賦課や償還事務作業も軽減されます。1億8600万円の繰上償還を予定していますが、厳しい農業情勢がゆえに、一年も早く身軽になってもらうための対策であります。
④事務機構の改革
 経営検討委員会の中では、全職員に経費節減の認識を持たせるとともに、事務の効率化やスリム化を促進するため職員の配置転換や新たにダム管理課を新設するなど改革を行ってまいりたいと思います。また、人件費の抑制のため、この3月末で2名の退職者がありますが、正職員の補充は行わないこと、更に現行の臨時職員を派遣職員に切り替えるなどの方策をとっております。
⑤財政調整基金積立金からの繰入金
 平成21年度は、改革元年ということから、様々な改善策を取り入れ実施していくこととしていますので、一年で財政状況が一変するということはありませんが、財政調整基金からの取崩しについては、前年度当初予算では7400万円であったものが、21年度では5200万円となり、2200万円の軽減となりました。また、合併検討時のシミュレーションでは、6000万円の取崩しであったものが、それをも下回る予算案となりました。
 経営検討委員会では、これらの結果の検証を始め、引き続き20年度決算に基づく検証を行い、更なる改革を進めてまいりたいと考えています。
 以上、土地改良区を取り巻く問題、そして平成21年度予算に関する事項についてを申し述べました。
 さて、去る23日、新潟県土地改良事業団体連合会において、関川水系土地改良区が団体表彰を受けたところであります。これは、18年に6土地改良区が経営基盤の安定と組織基盤の強化を目的に新設合併し維持管理と事務の効率化を図ったこと、また客水区域との合意が評価されて表彰となったものであります。私たち役員一同、この表彰に恥じないように、引き続き組合員のため持続的な土地改良区を目指して土地改良区の運営を行っていく所存であります。

 最後になりましたが、平成20年度補正予算、平成21年度予算、更に定款諸規定の改正など膨大な案件がございますが、慎重審議を頂き、原案通り議決・承認いただくことをお願いいたしあいさつといたします。

 平成21年3月21日

関川水系土地改良区
理事長 太 田 三 男